本節では、これまで扱ってきた組み合わせ回路の知識をもとに、
時間的な変化に応じて動作する「有限状態機械(FSM)」の考え方を簡潔に導入します。
FSMは、SoCや制御回路の設計において非常に重要な概念であり、
本章ではその基本構造と動作モデルを理解することを目指します。
観点 | 組み合わせ回路 | FSM(順序回路) |
---|---|---|
出力 | 入力のみに依存 | 入力と状態に依存 |
メモリ | 持たない | 状態を保持 |
例 | AND, OR, MUX | カウンタ、シリアル受信、制御器 |
FSM(Finite State Machine)は、以下の3つの要素から構成されます:
図2.6-1:FSMのブロック構成図(入力・状態・出力)
FSMは状態遷移図または状態遷移表によって動作を視覚的に表現します。
図2.6-2:簡易FSMの状態遷移図(2状態)
型 | 出力が依存するもの | 特徴 |
---|---|---|
Moore | 状態のみ | 出力が状態により安定 |
Mealy | 状態+入力 | 出力変化が早いが設計注意 |
図2.6-3:Moore型とMealy型の比較構成図
FSMは、実際の設計では Verilog などのハードウェア記述言語(HDL)で以下のように記述されます:
always @(posedge clk) begin
case (state)
S0: if (in) state <= S1;
S1: if (!in) state <= S0;
endcase
end
※詳細な記述や設計は、第5章または実践編で扱います。
📎 本節終了:次節では、演算・選択・制御ブロックの関係性を整理する
2.7 コンポーネント関係図
に進みます。