✍️ はじめに | Introduction |
半導体技術は、トランジスタの発明から始まり、MOS構造の登場で急速に進化しました。
微細化と集積化はムーアの法則に沿って進み、LSIはあらゆる分野に広がっています。
しかし、物性・回路・プロセス・テストなどの分野は分業化が進み、教育現場では分断されがちです。
実務ではこれらは密接につながっており、回路はデバイスの動作原理に依存し、設計はプロセスや信頼性に支えられています。
Edusemi は、このような「基礎技術同士の構造的つながり」に焦点を当てた教育教材です。
応用に向けた視野を意識しつつも、「基礎技術同士の構造的つながり」に集中し、実務に活きる“構造的理解”を育てることを目指します。
📘 プロジェクト概要
Edusemi-v4x は、半導体の設計・製造・検査・品質保証に関する一貫した基礎知識を、体系的かつ実践的に学ぶためのオープン教材プロジェクトです。
章 | タイトル | 概要 |
---|---|---|
1 | 半導体物性と材料基礎 | バンド構造、PN接合、MOS電界効果などの基礎物性 |
2 | デジタル論理と論理回路設計 | 組み合わせ回路、順序回路、FSMとHDL記述の導入 |
3 | プロセス技術と微細化の制約 | ノード変遷、配線、リソグラフィ、信頼性と変動要因 |
4 | MOSトランジスタ特性と設計基盤 | 寸法・特性・信頼性、PDKとの関係、デザインルール |
5 | SoC設計フローとEDAツール | RTL設計、合成、配置配線、DRC/LVS、タイミング検証 |
6 | テスト・パッケージ・製品化 | ETEST・ウエハテスト・不良解析・信頼性試験・出荷管理 |
7 | デザインレビューと開発組織連携 | DR構造、ケース比較、SRAM不良事例、組織的合意形成 |
章 | タイトル | 概要 |
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1 | メモリ技術 | SRAM・DRAM・FeRAM・MRAMなどの構造・特性・用途とSoC設計との関係 |
2 | 高耐圧デバイス | LDMOS等に代表される電界制御構造と、高電圧動作のためのデバイス設計 |
3 | ESD設計 | 静電破壊対策の基本、保護素子、レイアウト注意点、試験規格と破壊事例 |
4 | レイアウト設計と最適化 | CMPダミー、IRドロップ、ラッチアップ防止など、物理実装とその工夫 |
5 | アナログ/ミックスドシグナル | アナログブロック設計とノイズ、レイアウト、混載設計における課題と対策 |
6 | PDKとEDA環境 | PDKの構成、EDAツールとの接続、DRC/LVS/ERCチェックフローの理解 |
7 | 自動化と実装検証技術 | Lint、OpenLaneによる論理・物理検証とログ解析、CI/CDの導入例 |
8 | FSM設計(有限状態機械) | Moore/Mealy型、状態遷移図、Verilog記述までの構造的理解 |
9 | PLLとクロック設計 | PLLの構造、周波数合成、ジッタ/スキュー、STAにおける設計配慮点 |
章番号 | タイトル | 概要 |
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1 | Pythonによる自動化ツール群 | SPICEシミュレーション、特性プロット、OpenLaneログ解析など、半導体設計現場に役立つ実務的スクリプト群の実装例 |
2 | Sky130実験とSPICE特性評価 | Sky130 MOSモデルを用いた Vg–Id 特性抽出、しきい値電圧 (Vth) 推定、BTI/TDDB 劣化予測などのSPICE実験フロー |
3 | OpenLaneによるデジタル設計実習 | RTL記述からGDS出力まで、OpenLaneツールによる論理合成・配置配線・レポート解析を通じて、物理設計の流れを体験的に学ぶ |
4 | PoC仕様書と設計展開 | FSM・MUX・Adder の最小構成PoC仕様を策定し、Verilog設計とテストベンチを通じてRTL設計の基本構造と意図を明確化 |
5 | 設計結果の評価とレポート | 波形解析、面積・タイミング・DRC/LVSの設計評価を行い、比較・改善提案まで含めた設計フィードバック力を実践的に育成 |
章 | タイトル | 概要 |
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1 | 先端ノード(FinFET、GAA等) | 微細化対応の新構造トランジスタの物理・電気特性と設計影響 |
2 | チップレットと先端パッケージ技術 | 異種集積における2.5D/3Dパッケージ技術、TSV・インターポーザ事例 |
3 | FSM×PID×LLMによる統合制御システムのSoC実装手法 | AITLアーキテクチャのSoC実装への適用と統合制御手法の展開 |
4 | FSM×PID×LLM制御系のOpenLaneによるRTL-to-GDSII実装 | OpenLaneを用いた統合制御ロジックの配置配線・DRC対応 |
5 | PDKとレイアウト検証による物理整合とDFM設計指針 | Sky130 PDKを用いたDRC・LVS・DFM設計手法の実践的習得 |
6 | 圧電アクチュエータ制御システムの構成と実装 | 分極処理、ヒステリシス補償、FSM制御、COF実装などを統合した実践教材 |
7 | 完成体製品における開発ドキュメントとワークフロー | BOM構成、部品管理、試作・評価、DR・量産Gateなどを体系化した実務ドキュメント教材 |
Edusemi は、ChatGPT との連携を前提に設計されています。
学習者は、コードの添削やエラー解析、ツール操作のガイド、概念の再説明、実験レポートの構成補助など、あらゆる場面で ChatGPT を“学習パートナー”として活用できます。
現代の設計現場に即した 対話型・実務直結型の学習を支える教材として設計されています。
本教材は、以下の教育プロジェクト・制御フレームワークと連携しています。
半導体の論理設計や自動化実装と密接に関わる制御技術・AI統合手法を、横断的に学ぶことが可能です。
古典制御・現代制御から、ニューラルネット・強化学習・LLM連携などの次世代AI制御までを網羅した教育教材。
Pythonベースでの制御設計演習や実装・検証手法が学べ、PoC仕様書作成やOpenLane連携も含む。
FSM(本能)+PID(理性)+LLM(知性)の三層制御構造を特徴とする構造知能制御フレームワーク。
人型ロボットや知能化装置への応用を想定し、PoC設計・FSM制御・LLM推論による統合制御を実証可能。
半導体技術を地政学・企業戦略・市場動向・量子技術など多角的な視点で深掘りする応用教材シリーズ。
技術と社会の接点を重視し、技術者・マネジメント・教育者の視野拡大と意思決定支援を目的としています。
学歴:信州大学大学院 電気電子工学修士課程 修了
本教材は MITライセンス に基づき、自由に使用・改変・再配布が可能です。
教育機関・企業内研修などでの活用も歓迎します。
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