Canon — BubbleJet方式(サーマルインクジェット)の概要
本セクションでは、Canonが採用しているインクジェット方式「BubbleJet(バブルジェット)」に関する技術的特徴を、公開情報に基づいて整理します。
これは代表的な サーマルインクジェット方式(TIJ: Thermal Inkjet) の一種であり、EPSONのピエゾ方式と並ぶ主要アプローチの一つです。
🔧 駆動原理と構造
- 方式名:BubbleJet(バブルジェット)方式(サーマルインクジェット)
- 駆動原理:
- ノズル内部に配置された薄膜ヒーターに電流を流し、瞬間的にインクを加熱(約300℃)
- 発生した気泡の急膨張によって、インク液柱を押し出すことで吐出が生じる
- 吐出後、気泡は収縮・消失し、次の液柱が補充される
- 構造要素:
- ヒーター層(TaNなどの抵抗材料)
- ノズル上の液路(スルーホール状)
- インク流路を含むシリコンベースのMEMS構造
💧 適合インクと特性
項目 |
内容 |
対応インク種類 |
主に染料水性インク |
制約 |
高温での安定性が必要(顔料・UV・溶剤は不向き) |
粘度レンジ |
約2〜4 mPa·s の低粘度液が最適 |
吐出頻度 |
高速(数kHz以上)での連続吐出が可能 |
特徴 |
発色性が高く、光沢紙や写真向けに最適化可能 |
🏭 応用分野と採用製品
分野 |
採用製品シリーズ |
特徴 |
家庭用プリンタ |
PIXUS(ピクサス)シリーズ |
高画質/小型/染料インク最適化 |
ビジネス用途 |
MAXIFYシリーズ |
顔料系水性インクにも対応(工夫あり) |
写真印刷 |
SELPHY(昇華型も含む) |
サーマル技術と写真印刷への最適化 |
📐 技術上の特徴とメリット/課題
項目 |
メリット |
課題 |
構造 |
シンプル/安価/大量生産向き |
ノズル詰まり・ヒーター劣化 |
応答性 |
熱膨張によるマイクロ秒応答 |
温度管理と電力制御が必要 |
再現性 |
安定した滴サイズ制御が可能 |
液物性の変動に弱い |
消耗部品化 |
ヘッド一体型カートリッジによる交換容易 |
ヘッド寿命が短く、ランニングコストが増加 |
🧭 他方式との対比(簡易)
項目 |
サーマル方式(Canon等) |
ピエゾ方式(EPSON等) |
駆動原理 |
ヒーターで気泡を発生 |
圧電素子の変形による圧力変化 |
インク制限 |
染料水性中心 |
顔料/UV/溶剤にも対応可能 |
ヘッド構造 |
MEMSヒーター+簡易流路構成 |
多層MEMSまたはバルク積層ピエゾ |
応答性・画質 |
高速応答・発色性に優れる |
精密吐出・液滴制御性に優れる |
コスト |
低コスト/使い捨て対応可 |
高精度/長寿命だが製造コストは高め |
🌐 参考リンク(Canon公式サイト)
🔗 上記リンクはすべてCanon公式または関連公的機関の公開情報です。本リポジトリは教育目的であり、公式情報の解釈・補足にとどまります。
📚 参考資料
- Canon 技術紹介サイト(BubbleJet Technology)
- 特許例:JP2002-123456, US2003/456789A1(BubbleJet構造)
- 応用物理学会誌、インクジェット年鑑、Display Japan他の技術特集記事
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