🔋 FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)
📘 概要
FeRAM(強誘電体RAM)は、高速・不揮発・高書換え耐性を兼ね備えたメモリです。
従来のDRAMに似た1T1C構造をベースとしつつ、キャパシタの誘電体に強誘電体材料(例:PZT, HfO₂ベース)を用いることで、不揮発性と高速性を両立しています。
🔧 セル構造と動作原理
WL
|
o ← アクセスFET
|
● ← 強誘電体キャパシタ(PZT, HfO₂等)
|
BL
- 強誘電体キャパシタ:極性の向き(正/負)が論理「1」「0」に対応
- 書き込み:電圧を加えて分極方向を切り替える
- 読み出し:破壊読み出し(一度リセット → 分極状態を検出)
📊 特性比較
項目 |
FeRAM |
SRAM |
DRAM |
Flash |
不揮発性 |
◎ |
× |
× |
◎ |
書換回数 |
◎(10¹²回以上) |
◎ |
◎ |
△(10⁴〜10⁵回) |
書換速度 |
◎(nsオーダ) |
◎ |
○ |
×(µs〜ms) |
消費電力 |
低 |
中 |
高(リフレッシュ) |
中 |
セル面積 |
△(1T1C) |
△(6T) |
◎(1T1C) |
◎ |
🏭 実装事例と応用
- アナログ混載LSI(ADC/DAC内蔵、MCU)に不揮発メモリとして統合
- 自動車・医療・産業機器向けの高信頼性ロジックLSI
- 一部PDK(例:富士通FeRAM、ROHM製品など)で標準セルとして提供
🔬 材料技術とスケーリング課題
- 伝統的:PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)→ 高性能だがCMOSと相性課題あり
- 最新:HfO₂系強誘電体が微細CMOSと親和性高く注目(→ 28nm適用事例も)
- 問題点:破壊読み出しによる書換え累積劣化、セルアレイ配置時の干渉ノイズ
📚 教材的意義
- DRAMと構造が類似しているが、不揮発性と速度のトレードオフ設計が必要
- SRAMやMRAMとの比較により、組込み用途に適したメモリ選定の視点が得られる
- アナログ混載時の再書込可能な構成として、低消費かつ動作安定性を重視
🔗 関連章(参照)
© 2025 Shinichi Samizo / MIT License