6.4 パッケージ工程:実装と信頼性確保
ウエハテストを通過した良品チップは、物理的・電気的に保護されたパッケージへと実装される。
パッケージ工程では、製品の実装信頼性と長期耐久性を確保することが最大の目的である。
不良流出のリスクを伴う工程であり、接合不良・異物混入・実装ストレスなどに対して十分な制御が求められる。
🎯 パッケージ工程の目的
- 外部との電気的インタフェースを確立(入出力端子化)
- 機械的保護(封止、基板接着、耐衝撃性の確保)
- 熱放散のための構造(放熱板、裏面メタル、接着材など)
- 外部環境(湿度、温度、振動)からの隔離
📦 主なパッケージ方式
種類 |
特徴 |
用途 |
ワイヤボンディング(WB) |
AlワイヤでI/Oを接続 |
標準的、コスト低、成熟技術 |
フリップチップ(FC) |
バンプ接続で裏面実装 |
高速信号、高密度、高熱放散 |
COF(Chip On Film) |
フレキシブル基板への直接実装 |
ディスプレイ駆動ICなど |
CSP(Chip Scale Package) |
チップサイズに近い小型パッケージ |
モバイル・ウェアラブル系 |
🧰 実装ステップの例(WB型)
- ダイシング
ウエハをチップ単位に分割(ダイ)
- ピックアップ・マウンティング
ダイをリードフレームまたは基板へ配置
- ワイヤボンディング
Al/金ワイヤでパッドと外部端子を接続
- モールド(封止)
エポキシ樹脂などでチップ全体を保護
- 切断・リード成形
個々のパッケージに分離し、外形整形
⚠️ 工程上の注意点と信頼性対策
- ワイヤ接合位置・条件の制御(断線・リフト防止)
- モールド中の異物混入・気泡形成防止
- 基板とのCTE差による熱ストレス対策
- フラックス残渣・湿気によるパッケージクラック防止
- クラック/剥離発生時の断面観察による再発防止
📚 教材上の意義
- パッケージは単なる“箱”ではなく、品質保証の一部として機能する構造体である。
- 「動くかどうか」ではなく、「どこでも・いつまでも・確実に動くかどうか」を保証するための最終実装工程である。
- パッケージ設計と実装条件は、信頼性・熱設計・生産性と密接に関わる実践技術である。