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4.4 デザインルールと寸法規則の意味

MOSトランジスタをはじめとするICの各構造は、製造プロセスの制約・ばらつき・歩留まりに応じて
寸法ルール(Design Rule)として規定され、PDK内に明記されます。

本節では、sky130や0.18µmプロセスを例に、
設計者が守るべき「寸法の意味」と「背景にある物理的・製造的理由」を解説します。


🧩 デザインルールとは何か?

▶ 定義

▶ 主なルールの例

ルール名 意味 教材上の観察ポイント
Lmin ゲート長の最小値 Id特性・遅延・リークへの影響
Wmin ゲート幅の最小値 ドライブ能力、ばらつき
Poly to Diffusion ポリと拡散の間隔 LDD構造との関係、微細化限界
Contact size/spacing コンのサイズと間隔 配線密度と接続確実性
Metal width/spacing 金属配線の幅・間隔 EM対策、RC遅延制御

🧠 ルールにはすべて「理由」がある

背景要因 寸法ルールへの反映
リソグラフィ分解能 Lmin、パターン密度制約
エッチングや洗浄のばらつき スペースルール(min spacing)
歩留まり改善 コン間隔、ベタGND配線の確保
電気的特性確保 Wmin、オープン防止

教育では「ルール=制限」ではなく、「製造を守る設計者の配慮」として理解させることが重要


🧪 教材プロセス(sky130等)でのDR観察例

教材課題 内容
Lminを下回るゲートを意図的に描画 → DRCでエラー 寸法制限の自動検出とその理由を学ぶ
Metal幅・間隔を縮小して配線 → EMとIR drop議論へ 寸法ルールと電気特性の関係に触れる
Contactを過密に → DRC失敗と構造破壊の可能性 製造視点の重要性を理解

📘 デザインルールは設計の「守り」ではなく「攻め」


次節への導入

これらのルールは、PDK(Process Design Kit)として設計者に提供され、
設計フローの中でシミュレーションやレイアウト制約に組み込まれます。

👉 4.5 PDKと設計基盤の構築(sky130を中心に) に進みます。