PDK(Process Design Kit)は、半導体設計において不可欠な「設計と製造の橋渡し」です。
本節では、sky130を例に、PDKの構成要素・役割・教育的活用法を解説し、
実設計がどのようにプロセス情報と接続されているかを体系的に整理します。
機能領域 | 内容 | 拡張子・形式 |
---|---|---|
デザインルール | 寸法・間隔制約 | .lef , .tech , .drc |
デバイスモデル | SPICEモデル、ばらつき対応 | .model , .lib |
シンボル/セル | 回路図シンボル、レイアウトセル | .lib , .gds , .mag |
シミュレーション設定 | SPICE条件、温度・電圧コーナー | .spice , .tt , .ff , .ss |
対応EDAツール用設定 | Magic, KLayout, OpenROAD等 | .tcl , .cfg |
sky130では、Google/SkyWater/efablessにより、オープンソースでPDKが公開されており、
教育・研究・設計演習に幅広く利用可能
活用テーマ | 内容 |
---|---|
モデルからId-Vgカーブを描く | .model ファイルを用いたSPICEシミュレーション演習 |
DRC・LVSによる設計チェック | .tech と .lef に基づく物理検証体験 |
標準セルの観察と変更 | .lib や .gds を読み込み、セル内部構造を学ぶ |
回路図〜レイアウト一貫演習 | Sky130環境での OpenLane/EDA 自動化演習 |
PDKは、以下の2つを同時に担います:
PDKを使いこなすことは、設計者が現実の製造に責任を持つ第一歩です。
次章(第5章)では、PDKを用いて構成された標準セルや回路ブロックを活用し、
SoC設計フロー全体(RTL〜配置配線〜GDS出力)を扱っていきます。