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4.5 PDKと設計基盤の構築(sky130を中心に)

PDK(Process Design Kit)は、半導体設計において不可欠な「設計と製造の橋渡し」です。

本節では、sky130を例に、PDKの構成要素・役割・教育的活用法を解説し、
実設計がどのようにプロセス情報と接続されているかを体系的に整理します。


📦 PDKとは何か?

▶ 定義


🧩 PDKの主な構成要素(sky130の例)

機能領域 内容 拡張子・形式
デザインルール 寸法・間隔制約 .lef, .tech, .drc
デバイスモデル SPICEモデル、ばらつき対応 .model, .lib
シンボル/セル 回路図シンボル、レイアウトセル .lib, .gds, .mag
シミュレーション設定 SPICE条件、温度・電圧コーナー .spice, .tt, .ff, .ss
対応EDAツール用設定 Magic, KLayout, OpenROAD等 .tcl, .cfg

sky130では、Google/SkyWater/efablessにより、オープンソースでPDKが公開されており、
教育・研究・設計演習に幅広く利用可能


🧠 教育的活用のポイント

活用テーマ 内容
モデルからId-Vgカーブを描く .model ファイルを用いたSPICEシミュレーション演習
DRC・LVSによる設計チェック .tech.lef に基づく物理検証体験
標準セルの観察と変更 .lib.gds を読み込み、セル内部構造を学ぶ
回路図〜レイアウト一貫演習 Sky130環境での OpenLane/EDA 自動化演習

⚙ PDKは「設計と製造の契約書」

PDKは、以下の2つを同時に担います:

  1. 製造可能性を担保する「制約条件」(歩留まりと信頼性を守る)
  2. 設計自由度を提供する「構築要素」(トランジスタ、セル、インターフェース)

PDKを使いこなすことは、設計者が現実の製造に責任を持つ第一歩です。


🧭 次章への接続

次章(第5章)では、PDKを用いて構成された標準セルや回路ブロックを活用し、
SoC設計フロー全体(RTL〜配置配線〜GDS出力)を扱っていきます。