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3.1 ノード縮小の歴史と寸法ルールの変遷

本節では、CMOS技術における「ノード縮小」とは何を意味していたのかを明確にし、
0.5µm世代から90nm世代までの主要な変遷と、その背後にあったリソグラフィや寸法ルールの技術的現実をたどります。

「90nmプロセス」とは単なる線幅の話ではなく、
どこまで微細化し、どこまで設計可能であったかの総合的な技術条件を意味していました。


📌 ムーアの法則の意味と誤解


📏 技術ノードと設計ルールの変遷表(例)

世代 公称ノード Lmin(物理ゲート長) レイアウト寸法例 主な技術的特徴
0.5µm 500nm ~600nm Metal1幅: 0.6µm i線(g線)、LOCOS隔離
0.35µm 350nm ~400nm Cont: 0.4µm LDD開始、深拡散接合
0.25µm 250nm ~280nm M1: 0.3µm KrF露光導入、STI普及
0.18µm 180nm ~210nm Gate: 0.2µm サリサイド化、浅接合・OPC開始
0.13µm 130nm ~160nm Cont: 0.22µm Cu配線、Low-k前夜、OPC本格導入
90nm 90nm ~120nm Gate: 0.13µm ArF露光、ハーフトーンマスク

※ 実際の寸法値はメーカーやPDKによって異なるが、設計ルールの進化傾向を示す目安として掲載。


🔬 リソグラフィ技術の推移

世代 露光波長 解像度向上手法
0.5µm〜0.35µm i線(365nm) 単純縮小
0.25µm〜0.18µm KrF(248nm) ステッパー高NA化、STIでレイアウト自由度向上
0.13µm〜90nm ArF(193nm) OPC導入、ハーフトーンマスクで臨界寸法確保

📐 設計ルールは“論理寸法”ではない


🧭 本節のまとめと次節への接続

👉 次節 3.2 では、そのような構造的転換点で導入された STI や LDD の詳細と、
それらが寸法ルールにどう影響したかを掘り下げていきます。