本節では、CMOS技術における「ノード縮小」とは何を意味していたのかを明確にし、
0.5µm世代から90nm世代までの主要な変遷と、その背後にあったリソグラフィや寸法ルールの技術的現実をたどります。
「90nmプロセス」とは単なる線幅の話ではなく、
どこまで微細化し、どこまで設計可能であったかの総合的な技術条件を意味していました。
世代 | 公称ノード | Lmin(物理ゲート長) | レイアウト寸法例 | 主な技術的特徴 |
---|---|---|---|---|
0.5µm | 500nm | ~600nm | Metal1幅: 0.6µm | i線(g線)、LOCOS隔離 |
0.35µm | 350nm | ~400nm | Cont: 0.4µm | LDD開始、深拡散接合 |
0.25µm | 250nm | ~280nm | M1: 0.3µm | KrF露光導入、STI普及 |
0.18µm | 180nm | ~210nm | Gate: 0.2µm | サリサイド化、浅接合・OPC開始 |
0.13µm | 130nm | ~160nm | Cont: 0.22µm | Cu配線、Low-k前夜、OPC本格導入 |
90nm | 90nm | ~120nm | Gate: 0.13µm | ArF露光、ハーフトーンマスク |
※ 実際の寸法値はメーカーやPDKによって異なるが、設計ルールの進化傾向を示す目安として掲載。
世代 | 露光波長 | 解像度向上手法 |
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0.5µm〜0.35µm | i線(365nm) | 単純縮小 |
0.25µm〜0.18µm | KrF(248nm) | ステッパー高NA化、STIでレイアウト自由度向上 |
0.13µm〜90nm | ArF(193nm) | OPC導入、ハーフトーンマスクで臨界寸法確保 |
👉 次節 3.2 では、そのような構造的転換点で導入された STI や LDD の詳細と、
それらが寸法ルールにどう影響したかを掘り下げていきます。