本節では、MOS構造をベースにしたnMOS/pMOSトランジスタが、
論理回路においてどのようにスイッチ(ON/OFF)として機能するのかを、構造と電圧条件の観点から整理します。
nMOSは、p型基板上に形成され、正のゲート電圧でn型チャネル(電子)を形成します。
図1.4-1:nMOSの断面構造とON/OFF状態

pMOSは、n型基板上に形成され、負のゲート電圧でp型チャネル(正孔)を形成します。
図1.4-2:pMOSの構造と動作状態

nMOSとpMOSは、次のように論理スイッチとして抽象化できます:
種類 | ゲート条件 | ON時の接続 | 論理動作 |
---|---|---|---|
nMOS | High(”1”) | ドレイン–ソースが導通(GND方向) | “1”で導通 |
pMOS | Low(”0”) | ドレイン–ソースが導通(VDD方向) | “0”で導通 |
図1.4-3:スイッチモデルとしてのMOS(記号・抽象図)

このON/OFF制御とVDD/GND接続の組み合わせにより、インバータやNANDなどの論理回路が構成されます(1.5節以降で扱います)。
電流式(参考):
$I_D = \frac{1}{2} \mu C_{ox} \frac{W}{L} (V_{GS} - V_{th})^2$
※本節では回路動作に焦点を置き、物理モデルは応用編で扱います。
📎 次節:1.5_cmos_inverter.md
(CMOS構造と論理動作)