MOSトランジスタの動作を理解するためには、その基盤である半導体のエネルギーバンド構造とキャリア(電子・正孔)の振る舞いを知ることが不可欠です。本節では、真性半導体とドーピングによるn型・p型半導体の違いを、バンド図とともに解説します。
半導体は、エネルギー的に以下のような構造を持ちます:
図1.1-1:真性半導体のエネルギーバンド構造
これらのキャリアは、以下の2つの力で移動します:
半導体に微量の不純物を加えることで、キャリアの性質を制御できます。
型 | ドーパント | 主キャリア | フェルミ準位の変化 |
---|---|---|---|
n型 | P, As, Sb | 電子 | Efが伝導帯に近づく |
p型 | B, Al, Ga | 正孔 | Efが価電子帯に近づく |
図1.1-2:n型・p型半導体のバンド構造とフェルミ準位の違い

真性キャリア密度:
\[n_i \\propto \\exp\\left(-\\frac{E_g}{2kT}\\right)\]📎 次節:1.2_pn_junction.md