本節では、SiC・GaNの次に来るとされる新しい半導体材料や構造技術を取り上げ、
それぞれの特徴、期待される用途、そして現時点での技術的課題について整理します。
材料/構造 | 特徴 | 期待用途 | 技術課題 |
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ダイヤモンドFET | 極めて高い熱伝導性・耐電圧 | 宇宙・核融合・高放射線環境 | 結晶成長と製造コスト |
垂直GaN(Vertical GaN) | GaNを縦構造で使用、高耐圧・大電流 | EV充電器、大型DC電源 | 複雑な製造工程 |
超高耐圧SiC(15kV+) | 厚膜エピ成長・トレンチ構造による耐圧強化 | 送電システム、産業インフラ | コストと信頼性 |
AlN(窒化アルミニウム) | 広いバンドギャップ・高熱伝導 | 極限環境、パワーデバイス基板 | デバイス化は未成熟 |
酸化ガリウム(β-Ga₂O₃) | 非常に広いバンドギャップ・単結晶化可能 | 超高耐圧用途 | 熱伝導性が低い |
比較項目 | 横型GaN(HEMT) | 垂直GaN(Vertical FET) |
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構造 | 横方向チャネル | 縦方向電流路 |
耐圧 | 数百V〜 | 1kV超まで可能 |
応用 | RF・電源 | EV・高電力変換 |
「バンドギャップが広い ≒ 熱や電圧に強い」
だが同時に「加工・制御が難しい」「コストが高い」というトレードオフがある。
📎 次節 5_ingan_laser.md では、InGaNレーザーとその応用を
光半導体・青紫光・ディスプレイ/車載/通信用途と関連づけて解説します。