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📘 04. サブスペース同定法(Subspace Identification)

本節では、入力–出力データに基づいて状態空間モデルを推定する手法、
サブスペース同定法(Subspace Identification)について解説します。


🎯 サブスペース同定とは?


🧠 数学的背景(簡略)

状態空間モデル:

\[\begin{aligned} x_{k+1} &= A x_k + B u_k \\ y_k &= C x_k + D u_k \end{aligned}\]

入力 $u_k$、出力 $y_k$ の系列から、回帰行列やハンケル行列を構成し、
SVD を通じて内部状態の次元とモデル行列を抽出します。


🔧 主なステップ(N4SIDアルゴリズム例)

  1. データ系列 ${u_k, y_k}$ を収集
  2. ハンケル行列(時系列の履歴)を構成
  3. SVDにより系の次数(状態次元)を推定
  4. 観測行列・状態遷移行列 $A, B, C, D$ を推定
  5. 得られたモデルの予測精度や再現性を検証

📈 特徴と利点

項目 内容
必要データ 入力–出力系列
ノイズ耐性 高い(SVDにより安定)
系の次数選定 自動・半自動で可能
拡張性 MIMO, 時不変・時変系にも対応

🧪 本教材での実装例

実験では、Python + NumPy + SciPy により小規模系の識別を行います。


💡 備考


🔚 まとめ

サブスペース同定法は、モデルベース制御への橋渡しとして有効な識別法です。
次節では、こうしたデータ駆動手法と従来モデルの統合について考察します。

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