本節では、これまで学んできたデータ駆動型制御と、
伝統的なモデルベース制御との違いや統合の方向性について整理します。
観点 | モデルベース制御 | データ駆動型制御 |
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必要な情報 | 数式モデル(力学方程式など) | 観測データ |
建模の手法 | 理論ベース(物理法則) | 統計・学習・回帰 |
利点 | 理論的保証・解析的手法が可能 | 柔軟性・建模不要・実験的に強い |
欠点 | モデル誤差に弱い・開発コスト大 | 過学習・汎化性の確保が課題 |
統合方法 | 内容 |
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モデル補完型 | 不完全なモデルをデータで補正(例:NN補正、リカレント残差) |
モデル予測型 | データ同定モデルでMPCを構築 |
学習支援型 | 強化学習・DMDの結果をPIDなどに反映 |
データ駆動H∞制御 | データに基づくロバスト制御器の設計(近年研究) |
モデルが既知 or 入手可能な場合: → モデルベース制御+簡易なフィードバック補正
モデル化が困難 or 現場対応重視の場合: → データ駆動型制御(DMD, Koopman, NN)
ハイブリッド戦略: → 初期設計にモデルを用い、運用段階でデータ補正を組み込む
本教材の最終章では、これらの融合として「知能制御アーキテクチャ」を扱います。
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