本節では、観測データに基づいて力学系の振る舞いを抽出する手法である
動的モード分解(DMD) について解説します。これはKoopman理論の一部としても位置づけられます。
観測系列 ${x_1, x_2, \dots, x_m}$ を以下のように構成:
\[X = [x_1, x_2, \dots, x_{m-1}], \quad X' = [x_2, x_3, \dots, x_m]\]DMDの目標は、$X’$ を $X$ によって最もよく近似する線形写像 $A$ を求めること:
\[X' pprox A X\]この $A$ の固有分解(またはSVD)によって、動的モード を抽出します。
dmd_analysis.py
koopman_vs_dmd_visual.ipynb
観点 | DMD | Koopman |
---|---|---|
アプローチ | データから近似線形写像 | 関数空間の線形作用素 |
必要データ | 状態系列 $x_t$ | 状態・入力・出力などの関数空間 |
制御との統合 | 制限的(予測用) | 制御設計が可能(線形系に変換) |
DMDは、「モデルレスで予測可能な線形系」を観測から得る代表的な手法です。
次節では、より制御指向なモデル構築手法である「サブスペース同定法」を学びます。
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