本節では、非線形力学系を高次元空間上で線形系として扱うという発想に基づく
Koopman演算子理論と、その制御応用について解説します。
多くの実システムは非線形であり、伝統的な線形制御手法では扱いにくいです。
Koopman理論は、非線形系を「関数空間上の線形作用素」として捉えることで、
非線形→線形制御への橋渡しを行います。
元の力学系: \(x_{t+1} = f(x_t)\)
観測関数(可視化・計測可能な量) $\psi(x)$ を定義し、 Koopman演算子 $\mathcal{K}$ により以下を満たす:
\[\psi(x_{t+1}) = \mathcal{K} \psi(x_t)\]つまり、非線形な状態遷移 $f$ を、$\psi$ を介して線形作用素 $\mathcal{K}$ で記述。
状態変換: \(z_t = \psi(x_t)\)
線形モデル: \(z_{t+1} = A z_t + B u_t\)
出力変換: \(x_t = C z_t\)
koopman_linearization.py
koopman_vs_dmd_visual.ipynb
⚠️ Koopman行列 $A, B, C$ の推定は、回帰やSVDなどを用いて行われます。
Koopman理論は、非線形→線形制御の橋渡しを行う新しい枠組みです。
次節では、この理論の出発点とも言える「動的モード分解(DMD)」を詳しく見ていきます。
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