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📈 02. Koopman演算子と線形化(Koopman Operator Theory)

本節では、非線形力学系を高次元空間上で線形系として扱うという発想に基づく
Koopman演算子理論と、その制御応用について解説します。


📚 背景:非線形系の困難さ

多くの実システムは非線形であり、伝統的な線形制御手法では扱いにくいです。
Koopman理論は、非線形系を「関数空間上の線形作用素」として捉えることで、
非線形→線形制御への橋渡しを行います。


🧠 基本アイデア

つまり、非線形な状態遷移 $f$ を、$\psi$ を介して線形作用素 $\mathcal{K}$ で記述


🛠️ 制御応用の流れ(Koopman制御)

  1. 系の観測データ $(x_t, x_{t+1})$ を多数取得
  2. 観測関数 $\psi(x)$ を適用し、線形近似 $\mathcal{K}$ を構築(線形回帰など)
  3. 得られた線形系上で LQR や MPC を設計
  4. 元の状態空間に逆変換して制御入力を適用

📈 Koopman制御の数式モデル(例)

  1. 状態変換: \(z_t = \psi(x_t)\)

  2. 線形モデル: \(z_{t+1} = A z_t + B u_t\)

  3. 出力変換: \(x_t = C z_t\)


📎 応用のポイント


🧪 本教材での実装

⚠️ Koopman行列 $A, B, C$ の推定は、回帰やSVDなどを用いて行われます。


🔚 まとめ

Koopman理論は、非線形→線形制御の橋渡しを行う新しい枠組みです。
次節では、この理論の出発点とも言える「動的モード分解(DMD)」を詳しく見ていきます。

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