topics: semiconductor,icdesign,layout,inkjet,gf180
本記事は、以下の記事の 続編です。
前編では、GF180MCU open PDK を用いて、
を整理しました。
本稿ではその続きとして、
を、GDS レイアウトの実例ベースで整理します。
インクジェットプリントヘッドでは、
dpi = ノズル密度 = ドライバ回路の配列ピッチです。
この数十 µm の差が、
高電圧デバイス・DNWELL・ガードリングを含む IC では
致命的な差になります。
HV_SW_UNIT は、
を含む 最小のスイッチ単位 GDSです。
回路完成度よりも、
「この構造は並べられるのか?」
を評価するための 物理検証用ユニットとして設計しました。
※ 本検証では、HV_SW_UNIT を NMOS 主体・4×2 配列として評価しています。
これは GF180MCU において DNWELL エンクロージャと基板分離が
配列ピッチを最も厳しく制約する条件を先に踏むためです。
単セルや 1×N 配列ではなく 4×2 とすることで、
ガードリング共有や DNWELL 連続性を含む
アレイ中心部の実効的な物理条件を確認しています。
各 HV_SW_UNIT が
を持つ構成です。

この時点で、
ことが明確になります。
次に、列単位で Guard Ring を共有し、
冗長なガードリングを削減しました。

結果:
最後に、
という 最小構成を評価しました。

ここで初めて分かるのが:
Guard Ring ではなく DNWELL が最終的な支配要因である
という事実です。
※補足
上記 3 つの図は外形的にはほぼ同一に見えますが、
差分は Guard Ring の配置・共有方法と DNWELL の支配関係にあります。
本検討はレイアウト形状の大幅変更ではなく、
どの構造が配列ピッチを本質的に制約しているかを切り分けるための比較です。
上記 3 段階の検証から、以下が結論です。
DNWELL のマージンと分離要件が 63.5µm に収まらない
つまり、
GF180MCU + DNWELL 前提では
400dpi インクジェットドライバは構造的に不成立
これは推測ではなく、
GDS レイアウトという証拠付きの設計判断です。
300dpi のピッチは約 84.7µm。
これは、PoC 用に設定していた
よりも 明確に大きい値です。
アレイ生成コード上も、変更点はほぼ 1 行です。
pitch_x = um(84.7, layout.dbu) # 25.4mm / 300dpi
この条件では、
という 現実的な設計レンジに入ります。
300dpi レイアウトが GDS 上で成立した後のステップは:
ここからは「配置検討」ではなく、
IC としての完成度を高めるフェーズに入ります。
このように、
「作れるかどうか」を
実レイアウトで判断する
こと自体が、本プロジェクトの最大の成果です。
高電圧・混載・高密度という条件が重なると、
設計は必ず 物理に引き戻されます。
GF180MCU open PDK は、その現実を
誰でも確認できる形で学べる貴重な教材です。
この続きを進めるなら、
それはもう 300dpi を前提とした別フェーズになります。
ここで一度、区切りを付けます。
本検証およびその後のレイアウト成果は、
以下の技術探索プロジェクトの一部である。
GitHub Repository
https://github.com/Samizo-AITL/gf180-inkjet-driver
GitHub Pages(設計ドキュメント)
https://samizo-aitl.github.io/gf180-inkjet-driver/
Design Docs(GDS / Layout中心)
https://samizo-aitl.github.io/gf180-inkjet-driver/docs/
ご意見・議論は GitHub Discussions へ
https://github.com/Samizo-AITL/gf180-inkjet-driver/discussions