🧪 【Inkjet】GF180MCU × OpenLane が成立しない理由を実機検証で確定させた

topics: [“semiconductor”, “openlane”, “pdk”, “gf180”, “vlsi”, “mixed-signal”, “high-voltage”, “layout”]


📌 結論(先に)

GF180MCU Open PDK は OpenLane(OpenPDK 前提フロー)に非対応であり、
自動合成 → P&R → GDS 生成は成立しない。

これは推測ではなく、実環境での検証結果である。

そして本検証の結果として、
本プロジェクトは 自動デジタルフローを放棄し、
高耐圧 MOS(HVMOS)を中心としたレイアウト主導設計へ移行した


🧭 背景

GF180MCU は、高電圧デバイスや mixed-signal 設計に適した
Open PDK として公開されている。

インクジェット・プリントヘッドドライバのような
HV + mixed-signal 回路との親和性も高く、

「OpenLane で GDS まで行けるのでは?」

という仮説を立て、実機環境で検証を行った。


🖥 検証環境(要点)


❗ 何が起きたか(事実)

OpenLane 実行時、prep 段階で必ず以下のエラーが発生した。

couldn't read file
.../libs.tech/openlane/config.tcl

🧠 技術的な原因

OpenLane は OpenPDK 形式を前提としており、
以下のディレクトリ構造を必須とする。

libs.tech/openlane/config.tcl

しかし、GF180MCU Open PDK にはこの構造が存在しない

これは単なる設定不足ではなく、
PDK 設計思想そのものの違いによる。


📊 技術的整理

項目 Sky130 GF180MCU
OpenLane公式対応
OpenPDK構造
自動GDS生成
HV / Mixed-signal適性

つまり、

GF180MCU が使えないのではなく、
OpenLane の前提と噛み合っていない

という結論になる。


🔍 なぜこれは「失敗」ではないか

本検証で確定した事実は以下。

これは設計判断として 極めて重要な境界線であり、
資料だけでは分からない点を 実機で確定させた


🚧 検証の次に行ったこと(重要)

自動フローを諦めた後、本プロジェクトでは次の段階に進んだ。

その結果、
高耐圧 MOS スイッチ単位(HV_SW_UNIT)の GDS を実際に生成するに至った。


🧩 HVMOS レイアウト成果(実GDS)

以下は、本プロジェクトで生成した
GF180MCU ベース高耐圧 MOS スイッチユニット(HV_SW_UNIT)の GDSである。

GF180 HV_SW_UNIT GDS (DNWELL + Guard Ring + HVMOS)

この時点で、

「OpenLane で GDS が出なかった」
ではなく
「適切な設計手法を選び直した結果、
実GDSに到達した」

という状態になっている。


🛠 実務的な示唆

GF180MCU を使う場合

OpenLane を使う場合

「HV mixed-signal × 自動デジタルフロー」は基本的に交わらない


🧩 本プロジェクトとの関係

本検証およびその後のレイアウト成果は、
以下の技術探索プロジェクトの一部である。

gf180-inkjet-driver


🧾 まとめ

GF180MCU × OpenLane は成立しない。
これは失敗ではなく、設計フロー選定における重要な検証結果である。

GF180MCU は
「自動化のためのPDK」ではなく、
“人がレイアウトする前提”の PDKである。

そして、その前提に立てば、
HVMOS を中心とした実GDSに到達できることも、
本検証で示された。


📎 付記

同様の誤解で時間を消費する設計者が
一人でも減ることを願っている。