topics: [“MEMS”, “解析”, “ROM”, “Python”, “シミュレーション”]
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の設計では、
構造・材料・駆動方式が密接に絡み合うため、解析が不可欠です。
一方で、FEM による厳密解析は
という課題も抱えています。
本記事では、そうした背景から開発した
軽量 MEMS 解析ツール mems-ana について、
を 総論として整理します。
mems-ana は、MEMS 構造を対象とした
ROM(Reduced Order Model)ベースの軽量解析ツールです。
主な狙いは次の通りです。
「高精度」よりも
「軽く・速く・構造的に理解できること」 を重視しています。
MEMS 構造の多くは、
という特徴を持っています。
この場合、変位 $u(x,y,t)$ は
\[u(x,y,t) = \sum_{n} q_n(t)\,\phi_n(x,y)\]のように、少数モードの重ね合わせで本質的な挙動を表現できます。
mems-ana ではこの考え方を前提に、
することで、計算量と解釈性を両立しています。
mems-ana は FEM を否定しません。
むしろ 役割を明確に分ける ことを重視しています。
| 項目 | mems-ana | FEM |
|---|---|---|
| 設計初期 | ◎ | △ |
| 感度・傾向把握 | ◎ | ○ |
| 高次モード | △ | ◎ |
| 局所応力 | × | ◎ |
| 計算コスト | 軽い | 重い |
mems-ana は
「この構造は、なぜこう動くのか?」
を 短時間で考えるための道具 です。
mems-ana では、以下のような解析を扱います。
これらはすべて、
で構成されています。
mems-ana には 意図的な制限 があります。
その代わりに、
しています。
何をしないかを決める ことも、設計ツールでは重要です。
mems-ana は単体ツールではなく、
といった文脈での利用を想定しています。
特に、
は、知能化・自動化の前提条件でもあります。
本記事で紹介した mems-ana のソースコードおよびデモは、
以下の GitHub リポジトリで公開しています。
https://github.com/Samizo-AITL/mems-ana
本記事は mems-ana シリーズの第1回です。
次の記事では、
「実際にどう動くのか」 を可視化デモを通して紹介します。
mems-ana は、
「正解を出すためのツール」
ではなく
「考えるためのツール」
として設計しています。
設計初期での違和感や仮説検証に、
軽量解析という選択肢があることを
本記事が伝えられれば幸いです。