topics: [control, design, architecture, ai, llm]
最近、制御や AI を扱う文脈で
「LLM で制御する」「AI が最適化する」といった話をよく見かけます。
ただ、実際の物理システムやデバイス設計の現場では、
という感覚のほうが支配的です。
この記事では、そうした前提のもとで整理した
2つの制御アーキテクチャ概念を紹介します。
| Envelope Control | Runtime(運用)の境界を守る |
| Design Recovery Control | Design-time(設計前提)を回復する |
どちらも「制御そのもの」ではなく、
制御が破綻しないための構造を扱います。
Envelope Control は、
不確実性下において、
システムを「安全な運転範囲(Envelope)」に拘束する概念
です。
ここで重要なのは、
という点です。
やることは非常に単純で、
を 実行時に守り続けること。
制御器(PID など)はその中で普通に動きますが、
Envelope を越えそうになった瞬間に 運用が抑制される。
👉 「どう動かすか」ではなく
「どこまでなら動かしていいか」 を決める制御です。
一方で、Design Recovery Control(DRC)が扱うのは
まったく別の時間軸です。
制御が破綻した原因となる
「設計前提そのもの」を回復するための概念
DRC は以下をやりません。
代わりにやるのは、
といった 設計前提の点検と更新です。
LLM が関与する場合でも、
という 設計監督の役割に限定されます。
👉 DRC は 制御ではなく設計レビューの構造化です。
この2つは 競合しません。
| 観点 | Envelope Control | Design Recovery Control |
|---|---|---|
| 扱う時間軸 | Runtime(運用中) | Design-time(設計更新) |
| 扱う対象 | 運転範囲(Envelope) | 設計前提・仮定 |
| 制御入力 | 触らない | 触らない |
| AI / LLM | 原則使わない | 設計監督としてのみ |
一言で言えば:
Envelope Control
→ 「いま、どう抑えて運転するか」
Design Recovery Control
→ 「なぜ設計が通らなくなったか」
この2つが揃って初めて、
制御は“普通の制御”のままでいられる。
ここで強調したいのは、
これは「制御アルゴリズム」の話ではない
という点です。
どちらも、
より前にある、
設計として、どこで責任を分けるか
の話です。
概念の定義と整理は、以下で公開しています。
Envelope Control
https://samizo-aitl.github.io/envelope-control/
https://github.com/Samizo-AITL/envelope-control
Design Recovery Control
https://samizo-aitl.github.io/design-recovery-control/
https://github.com/Samizo-AITL/design-recovery-control
制御を高度化するより先に、
を 構造として切り分けるほうが、
現実のシステムではずっと重要です。
Envelope Control と Design Recovery Control は、
そのための 設計側の道具です。
制御を「賢くする」前に、
制御を壊さない構造を考える。
その整理として、
この2つの概念を置いています。