topics: [“制御工学”, “PID制御”, “信頼性”, “FSM”, “シミュレーション”]
前回の記事では、
摩擦劣化下で「タイミング(Δt)だけを守る制御」は破綻する
という事実を、
PID と AITL(FSM による再調整)の比較を通して示しました。
結論は明確でした。
今回は一歩進めて、
では「信頼性制御」は何が足りなかったのか?
を掘り下げます。
まず誤解を避けるために整理します。
今回の AITL は:
それでも 信頼性制御にはならなかった。
理由は単純でした。
AITL の FSM は、次のようなロジックでした。
ここには 重大な欠落があります。
「その再調整は、本当に信頼性を改善したのか?」
を判断していない
摩擦劣化 1000 日相当の結果を、数値で振り返ります。
Controller | Δt mean [s] | |Δt| [s] | Amp ratio
----------------------------------------------
PID_only | -0.4730 | 0.4730 | 0.902
AITL | -1.3807 | 1.3807 | 0.888
| しかし ** | Δt | はむしろ悪化** |
つまり、
良かれと思ってやった再調整が、
信頼性を壊していた
ここで導入したのが、
「再調整してよいか」を判断する FSM
です。
ポイントは極めてシンプルです。
FSM の状態は以下だけで十分でした。
重要なのは、
LEAD(前に出すぎ)も劣化と定義する
ことです。
制御屋の直感では、
となりがちです。
しかし信頼性の観点では違います。
つまり、
LEAD は「隠れた信頼性劣化」
です。
FSM に次のガード条件を追加しました。
結果は次の通りです。
AITL | State = LEAD
| Amp ratio = 0.888
| Action = BLOCK
これにより、
「これ以上いじると壊れる」
という判断が可能になった
ここで得られた最大の教訓はこれです。
信頼性制御とは、
良くし続けることではなく、
悪くなる前に止めること
いいえ。
今回の AITL(A-Type)は、
という 設計上の到達点を示しました。
これは失敗ではなく、
「どこから先が別設計か」を明確にした
という意味で、極めて重要です。
ここまでで見えたのは次の点です。
つまり次は、
Reliability を目的関数にした
新しい AITL(B-Type)の設計
です。
再現コード・環境
https://github.com/Samizo-AITL/aitl-controller-a-type
詳細解析(GitHub Pages)
https://samizo-aitl.github.io/aitl-controller-a-type/docs/reliability/
👉 次回予告
「Reliability Cost で見る PID vs AITL ― なぜ“普通の PID”が勝つのか」