【制御:06】🛑 信頼性制御に必要だったのは「速くする」ことではなく「止める判断」だった

topics: [“制御工学”, “PID制御”, “信頼性”, “FSM”, “シミュレーション”]


はじめに(前回の続き)

前回の記事では、

摩擦劣化下で「タイミング(Δt)だけを守る制御」は破綻する

という事実を、
PID と AITL(FSM による再調整)の比較を通して示しました。

結論は明確でした。

今回は一歩進めて、

では「信頼性制御」は何が足りなかったのか?

を掘り下げます。


❌ 問題は「調整すること」ではなかった

まず誤解を避けるために整理します。

今回の AITL は:

それでも 信頼性制御にはならなかった

理由は単純でした。


🧠 欠けていたのは「止める判断」

AITL の FSM は、次のようなロジックでした。

ここには 重大な欠落があります。

「その再調整は、本当に信頼性を改善したのか?」
を判断していない


📊 実際に起きていたこと(数値で見る)

摩擦劣化 1000 日相当の結果を、数値で振り返ります。

Controller | Δt mean [s] | |Δt| [s] | Amp ratio
----------------------------------------------
PID_only  |   -0.4730   |  0.4730 |  0.902
AITL      |   -1.3807   |  1.3807 |  0.888

つまり、

良かれと思ってやった再調整が、
信頼性を壊していた


🧩 Reliability FSM という考え方

ここで導入したのが、

「再調整してよいか」を判断する FSM

です。

ポイントは極めてシンプルです。


🔁 状態は3つで足りる

FSM の状態は以下だけで十分でした。

重要なのは、

LEAD(前に出すぎ)も劣化と定義する

ことです。


⚠️ 「進みすぎ」も異常である

制御屋の直感では、

となりがちです。

しかし信頼性の観点では違います。

つまり、

LEAD は「隠れた信頼性劣化」

です。


🛡 ガード条件という設計判断

FSM に次のガード条件を追加しました。

結果は次の通りです。

AITL | State = LEAD
     | Amp ratio = 0.888
     | Action = BLOCK

これにより、

「これ以上いじると壊れる」
という判断が可能になった


💡 重要な気づき

ここで得られた最大の教訓はこれです。

信頼性制御とは、
良くし続けることではなく、
悪くなる前に止めること


❓ AITL は失敗したのか?

いいえ。

今回の AITL(A-Type)は、

という 設計上の到達点を示しました。

これは失敗ではなく、

「どこから先が別設計か」を明確にした

という意味で、極めて重要です。


▶ 次にやるべきこと

ここまでで見えたのは次の点です。

つまり次は、

Reliability を目的関数にした
新しい AITL(B-Type)の設計

です。


まとめ


🔗 参考リンク


👉 次回予告
「Reliability Cost で見る PID vs AITL ― なぜ“普通の PID”が勝つのか」