【制御:03】🧠 PID制御は想像以上に完成されている

topics: [“制御工学”, “PID”, “AI”, “LLM”, “ロボティクス”]


はじめに

AI や LLM を用いた制御が注目される中で、
次のように考える人は多いと思います。

私自身も、その一人でした。

そこで PID × FSM × LLM を組み合わせた
AITL(Adaptive / Intelligent Triple-Layer)制御 という構成を考え、
Python で実装し、PID 単体との比較検証を行いました。

結論から言うと、

現状の制御理論(特に PID)は、想像以上に完成度が高く、
AITL を用いても明確な優位性を示すのは難しい

という結果になりました。

本記事は、その検証過程と、そこから得られた冷静な考察をまとめたものです。


🔍 なぜ AITL を作ろうとしたのか

AITL の発想はシンプルです。

—— そんな期待を持っていました。

特に、

では効果があるのではないかと考えていました。


🎯 比較対象:PID単体を“正攻法”で実装する

重要なのは、
PID を雑に扱わないことです。

今回の検証では:

という前提で、
普通に設計された PID を基準にしました。

結果として、
適切にチューニングされた PID は、

という、非常に強い性能を示しました。


🧩 AITL(PID × FSM × LLM)を足してみる

次に、FSM と LLM を追加しました。

構造としては間違っていません。
「人がやっていることを分離した」だけです。

しかし実際には、

という問題が顕在化しました。


📉 結果:明確な優位性は示せなかった

正直に言うと、

この条件では、PID 単体に対する明確な勝ちは出ませんでした。

性能面でも、運用面でも、

という結果です。


🧠 なぜ PID はここまで強いのか

理由は明確です。

普通に設計された PID は、すでに最適解に近い
—— それが今回の実感でした。


🌱 それでも AITL が意味を持つとしたら

AITL が完全に無意味だとは思っていません。

意味を持つ可能性があるのは:

つまり、

制御性能を直接上げる技術ではなく、
設計や判断を整理するフレーム

としての価値です。


🧾 結論

AI や LLM を使った制御は魅力的です。
しかし、実装して比較してみると、

今の制御理論は、もう十分に強い

という現実に直面します。

これは失敗ではありません。
現実を検証した結果です。

AITL は、
PID を置き換えるものではなく、
必要になったときに思い出す設計の補助線
として位置づけるのが、最も誠実だと感じています。


📝 おわりに

「AI を使えば何かが劇的に良くなる」
—— そう簡単ではありません。

でも、

やってみて、線を引けた

それ自体が、技術者としての成果だと思っています。

同じように悩んでいる方の
参考になれば幸いです。