topics: [“制御工学”, “PID”, “AI”, “LLM”, “ロボティクス”]
AI や LLM を用いた制御が注目される中で、
次のように考える人は多いと思います。
私自身も、その一人でした。
そこで PID × FSM × LLM を組み合わせた
AITL(Adaptive / Intelligent Triple-Layer)制御 という構成を考え、
Python で実装し、PID 単体との比較検証を行いました。
結論から言うと、
現状の制御理論(特に PID)は、想像以上に完成度が高く、
AITL を用いても明確な優位性を示すのは難しい
という結果になりました。
本記事は、その検証過程と、そこから得られた冷静な考察をまとめたものです。
AITL の発想はシンプルです。
LLM:設計・再同定・判断支援(最外層)
—— そんな期待を持っていました。
特に、
では効果があるのではないかと考えていました。
重要なのは、
PID を雑に扱わないことです。
今回の検証では:
という前提で、
普通に設計された PID を基準にしました。
結果として、
適切にチューニングされた PID は、
という、非常に強い性能を示しました。
次に、FSM と LLM を追加しました。
構造としては間違っていません。
「人がやっていることを分離した」だけです。
しかし実際には、
という問題が顕在化しました。
正直に言うと、
この条件では、PID 単体に対する明確な勝ちは出ませんでした。
性能面でも、運用面でも、
という結果です。
理由は明確です。
普通に設計された PID は、すでに最適解に近い
—— それが今回の実感でした。
AITL が完全に無意味だとは思っていません。
意味を持つ可能性があるのは:
つまり、
制御性能を直接上げる技術ではなく、
設計や判断を整理するフレーム
としての価値です。
AI や LLM を使った制御は魅力的です。
しかし、実装して比較してみると、
今の制御理論は、もう十分に強い
という現実に直面します。
これは失敗ではありません。
現実を検証した結果です。
AITL は、
PID を置き換えるものではなく、
必要になったときに思い出す設計の補助線
として位置づけるのが、最も誠実だと感じています。
「AI を使えば何かが劇的に良くなる」
—— そう簡単ではありません。
でも、
やってみて、線を引けた
それ自体が、技術者としての成果だと思っています。
同じように悩んでいる方の
参考になれば幸いです。