topics: [“半導体”, “DRAM”, “故障解析”, “デバイス物理”, “プロセス”]
前稿では、0.25µm世代DRAMにおいて
Pause Refresh 条件で観測された異常の「現象」のみを記録した。
本稿では、その現象が
どの物理挙動に対応していたのかを整理する。
結論から言えば、
これは単なる「保持不良」という言葉で括れる現象ではない。
支配因子は、セル容量でも回路でもなく、
プロセス起因のリーク物理だった。
前編で列挙した観測事実は、
すべて同じ方向を指していた。
これらを同時に満たす物理条件は限られている。
この時点で、
支配因子はほぼ一つに絞られていた。
Pause Refresh 異常の正体は、
セルMOSトランジスタのジャンクションリーク電流である。
特に支配的だったのは、
に存在する 欠陥準位を介したリークだった。
ここで、Pause Refresh 異常を理解するための
物理的前提となる断面図を示す。
図1:0.25µm DRAMセルにおける ジャンクション端部リーク経路(概念断面図)
この図が示すのは、
リークが「セル全体」ではなく、
ごく局所的な構造端部に集中するという事実である。
これらはすべて、
プロセスダメージが蓄積しやすい場所でもある。
このリークは、
Shockley–Read–Hall(SRH)再結合に支配されていた。
SRHリークの特徴は明確だ。
この特性により、
という 可逆的挙動が自然に説明できる。
SRHリークは、
ではない。
欠陥は、
という性質を持つ。
その結果、
ランダム単一ビット Failとして観測された。
ここが重要な転換点である。
Pause Refresh 異常は、
では説明できなかった。
容量を増やしても、
だったからだ。
保持時間は、
容量ではなくリークで決まっていた。
Fail発生率は、
特定のプロセス条件と強く相関していた。
代表例は次の通り。
これらはいずれも、
界面欠陥密度を増やす方向
に働く。
プロセス条件を変えると Fail が減り、
元に戻すと再発する。
この再現性は、
物理起因であることの決定的証拠だった。
通常動作や通常リフレッシュ中は、
によって、リークは“見えにくい”。
Pause Refresh 条件では、
このため、
リーク電流 × 無補充時間
が、そのままデータ消失として現れる。
Pause Refresh は、
リーク物理をそのまま露出させる条件だった。
0.25µm DRAM の Pause Refresh 異常は、
プロセス起因の欠陥が作るリーク物理だった。
この現象は、
設計で議論すべき対象では最初からなかった。
Legacy Technology Archive
https://samizo-aitl.github.io/Edusemi-Plus/archive/legacy/
0.25µm DRAM ケース
https://samizo-aitl.github.io/Edusemi-Plus/archive/legacy/dram_025um/
Pause Refresh Fail 詳細
https://samizo-aitl.github.io/Edusemi-Plus/archive/legacy/dram_025um/pause/
次稿から、
PSRAM(2001年)ケースに入る。
まずは
「PSRAMは何を狙った技術だったのか」
――構造と前提だけを扱う。