【半導体:14】🧩 OpenLane 対応PDKの条件とは何か
― Sky130が成立し、GF180が難しくなる理由
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🧭 はじめに
OpenLane を使っていると、次の疑問に必ず行き当たります。
- なぜ Sky130 は比較的素直に流れるのか?
- なぜ GF180 Open PDK は同じように扱えないことが多いのか?
- これは設定不足なのか? それとも PDK の問題なのか?
本記事では、これを 「設計前提の違い」として整理します。
結論を先に述べると、
GF180 が「ダメ」なのではない。
OpenLane が暗黙に前提としている設計世界と、
GF180 の設計世界が異なる。
という話です。
🧱 OpenLane はどんなフローか(前提整理)
OpenLane は、
- RTL → 論理合成
- 自動配置配線(P&R)
- 自動 STA / DRC / LVS
- GDS 生成
までを 一気通貫で自動化する、
デジタル専用フローです。
ここで重要なのは、
OpenLane は PDK を一般化するフレームワークではない
という点です。
フロー側が、一定の PDK 構造と設計前提を
暗黙に仮定しています。
📋 OpenLane が事実上要求する PDK 条件
OpenLane で「素直に」成立しやすい PDK には、共通点があります。
1. OpenPDK 互換の構造
libs.ref / libs.tech が整理されている
- OpenLane 用の設定(
config.tcl 等)が存在
- 標準セル中心のビュー構成
2. デジタル標準セル前提
- 合成 → P&R → STA が一貫して回る
- 高電圧・特殊用途セルを前提にしない
3. 自動化を前提に設計されている
- 人手介入が少なくても成立する
- フロー側が PDK の“癖”を仮定している
これらは 仕様として明文化されていない前提です。
✅ Sky130 が OpenLane と相性が良い理由
SkyWater 130nm PDK(Sky130)は、
- OpenPDK 互換構造
- デジタル標準セル中心
- 教育・PoC用途を含む広い実績
を備えています。
つまり、
OpenLane が想定している設計世界と、
Sky130 の設計世界が一致している
ため、多少の調整不足があっても
フローが成立しやすい、という特徴があります。
🧠 GF180 Open PDK の設計前提
GF180MCU Open PDK は、方向性が異なります。
GF180 の特徴
- 高電圧(5V / 10V クラス)対応
- Mixed-signal / アナログ用途を含む
- 製品設計・実チップ志向
- 設計自由度が高い
これは PDK としては非常に健全です。
一方で、
自動デジタル一気通貫フローを
最優先した設計ではない
という性質を持ちます。
⚠ なぜ GF180 は OpenLane で難しくなるのか
ここで重要なのは、「動かない/動く」という二値ではありません。
- PDK の導入や基本テストが通る例は存在する
- しかし、RTL → GDS の自動フローを
Sky130 と同等の手軽さで成立させるのは難しい場合が多い
理由は次の通りです。
- OpenLane 側が仮定している PDK 構造と完全には一致しない
- 高電圧・特殊セル前提が自動化と衝突しやすい
- フロー側で吸収されない設計判断が多い
つまりこれは、
設定不足の問題ではなく、
設計前提のミスマッチ
です。
❗「GF180はOpenLaneで使えない」という表現について
本記事では、次のように整理します。
- ❌「GF180 は OpenLane で絶対に使えない」
- ⭕「GF180 は、OpenLane が想定する
“自動デジタル一気通貫用途”では成立範囲が狭い」
この違いは重要です。
GF180 は 別の設計世界で本領を発揮する PDK であり、
OpenLane の価値を否定するものでも、
GF180 の価値を下げるものでもありません。
🎯 GF180 が向いている用途
GF180 が本来向いているのは、次のような設計です。
- 高耐圧ドライバ
- Mixed-signal 回路
- カスタム設計主導のフロー
- 人が設計判断を握る製品設計
👉 設計者主導の世界
⚙ OpenLane が向いている用途
一方、OpenLane が最も力を発揮するのは、
- 教育
- PoC
- デジタル専用設計
- 自動化フローの検証
👉 フロー主導の世界
ここに優劣はありません。
役割が違うだけです。
🧭 設計者としての正しい判断軸
重要なのは、次の判断です。
- ツールに PDK を無理やり合わせない
- PDK にツールを無理やり当てはめない
- 設計前提が一致しているかを先に見る
PDK を選ぶとは、
プロセスではなく「設計思想」を選ぶことです。
📝 まとめ
- OpenLane はデジタル自動化フロー
- 対応 PDK には暗黙の前提がある
- Sky130 はその前提と整合している
- GF180 は別の設計世界に最適化されている
- 「難しい」は失敗ではなく境界条件
この理解があれば、
- OpenLane を過信せず
- PDK を誤解せず
- 設計判断を誤らない
という状態に立てます。
🧩 おわりに
これで、
- OpenLane1:まず動かす
- OpenLane2:環境を管理する
- OpenLane × PDK:前提を見極める
という 3 本が安全に揃いました。
これはツール解説ではなく、
設計者の立ち位置を決める話です。
前提が合っていれば、
ツールは必ず役に立ちます。