topics: [“Weff”, “FinFET”, “回路設計”, “デバイスモデル”]
Planar MOSFET から FinFET への移行は、
単なるデバイス構造の変更ではありません。
それは、
回路設計者が「幅 W」をどう扱うか
という設計思想そのものを変えました。
本記事では、
を整理します。
Planar MOSFET では、
チャネル幅 W は 純粋なレイアウト寸法でした。
つまり回路設計者は、
W/L を電気パラメータとして自由に調整できた
と言えます。
この時代、
レイアウトは回路設計の「結果」であり、
電流(I)–電圧(V)特性は設計式でほぼ完結していました。
FinFET では、この前提が崩れます。
FinFET のチャネルは「面」ではなく
立体的なフィン構造だからです。
その結果、有効チャネル幅は
もはや任意に引き伸ばせる量ではなく、
構造から決まる量(Weff)
になります。
概念的には、
Weff ≒ 2 × Hfin + Wfin
と表されます。
つまり、
電流能力(I–V 特性)は、形状そのものに依存
する構造になりました。
Planar 時代の「W を 2 倍にする」は、
という 連続量操作でした。
一方 FinFET では、
となります。
これは、
回路設計が「量子化された幅」を扱う世界
に入ったことを意味します。
Weff の導入がもたらした変化は本質的です。
これは、
回路設計がデバイス設計に踏み込んだ
とも言えます。
FinFET 世代では、
などの マルチゲート対応モデルが必須になります。
これらは単に I–V を当てはめるモデルではなく、
を 物理パラメータとして内包します。
モデルは、
回路と構造をつなぐ「翻訳器」になりました。
一見すると Weff は、
ように見えます。
しかし実際には、
電界制御が効く範囲でのみ設計できる
という、物理的に正しい制約を
回路設計に持ち込んだだけです。
これは FinFET の成功と表裏一体です。
Weff という概念は、
「微細化時代の回路設計は、
もはや構造を無視できない」
ことを静かに示しています。
GitHub Pages(公開教材・日本語)
https://samizo-aitl.github.io/Edusemi-v4x/f_chapter1_finfet_gaa/
GitHub(ソース管理・Markdown原稿)
https://github.com/Samizo-AITL/Edusemi-v4x/tree/main/f_chapter1_finfet_gaa
※ 本記事は Planar MOSFET の物理的限界(SCE) を起点とし、
なぜ構造転換が必然であったのかを理解するための導入位置づけです。
後続記事(FinFET/GAA/CFET 各論)と合わせて読むことを推奨します。