903.【設計】送電線・鉄塔点検ドローンSkyEdge:CMOS×レンズ×撮影距離のトレードオフ
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送電線・鉄塔点検ドローン SkyEdge
📷 CMOS × レンズ × 撮影距離のトレードオフ設計
前記事では、送電線・鉄塔点検ドローン SkyEdge の
1フライトあたりの V–I予算 を切りました。
本記事では、点検品質を直接支配する要素である
CMOSセンサ・レンズ・撮影距離 の関係を整理し、
「測れる画像」を成立させるための設計判断を明確にします。
❌ 1. 点検における失敗の典型
送電線点検でよくある失敗は次の通りです。
- 高解像CMOSを選んだが、レンズが追いつかない
- 画角を広げた結果、欠陥が1ピクセル以下になる
- 安全距離を優先しすぎて「測れない画像」になる
原因は単純で、
CMOS・レンズ・距離を別々に決めていることです。
🔄 2. トレードオフの基本関係
点検画像の成立条件は、以下の3要素で決まります。
- CMOS解像度(画素ピッチ)
- レンズ焦点距離(画角)
- 撮影距離
この関係は、
被写体上の最小分解能 =
撮影距離 × 画素ピッチ / 有効焦点距離
という形で効いてきます。
🧱 3. SkyEdgeの前提条件(再掲)
| 項目 | 前提 |
|---|---|
| 点検対象 | 送電線・鉄塔 |
| 撮影距離 | 5–30 m |
| 主欠陥 | 碍子クラック / ボルト緩み / 腐食 |
| 必要分解能 | ≤ 0.5 mm @ 10 m |
| センサ | 1インチ級 CMOS |
| 解像度 | 20–24 MP |
🔍 4. CMOSセンサ側の制約
4.1 画素ピッチ
20–24 MP クラス(1”)では、
- 画素ピッチ:約 2.4–2.8 µm
が現実的です。
これ以上細かくすると、
- 感度低下
- S/N悪化
- 点検現場(逆光・影)で不利
になります。
🔭 5. レンズ焦点距離の選定
5.1 広角に振りすぎると何が起きるか
- 欠陥が1–2 pixelに埋もれる
- 歪補正後の実効解像が落ちる
- 差分比較が不安定になる
5.2 望遠に振りすぎると何が起きるか
- 撮影範囲が狭くなる
- 再現飛行の難易度が上がる
- 追従制御が厳しくなる
🎯 6. SkyEdgeの最適解(数値固定)
可視カメラ光学仕様(推奨)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 焦点距離(35mm換算) | 50–70 mm |
| 実焦点距離(1”) | 約 18–25 mm |
| 水平画角 | 約 25–35° |
| レンズ歪み | ≤ 1%(校正前提) |
| F値 | F4–F5.6 |
少し狭い画角を選ぶのが点検設計の要点です。
📐 7. 分解能の成立確認(具体例)
条件
- 撮影距離:10 m
- 実焦点距離:20 mm
- 画素ピッチ:2.5 µm
被写体分解能(概算)
- 約 0.4–0.5 mm / pixel
仕様で切った 0.5 mm @ 10 m を満たします。
🚫 8. なぜグローバルシャッタが必須か
- プロペラ振動
- ホバリング時の微振動
- 低速移動撮影
これらがある環境でローリングシャッタを使うと、
- 歪補正後の幾何が崩れる
- 前回との差分が取れない
点検用途では歪まないことが最優先です。
📏 9. 撮影距離をどう設計に組み込むか
SkyEdgeでは、撮影距離を
- 操作上の目安
- 運用ルール
ではなく、制御量として扱います。
- 距離センサで 5–30 m を自動保持
- 距離逸脱時は撮影不可フラグを立てる
- 無理に撮らないことで再現性を守る
撮れたかどうかではなく、
撮ってよい条件だったかをログに残します。
🧠 10. なぜこの設計が差別化になるのか
多くの点検ドローンは、
- 高解像CMOSを載せる
- 画角は見やすさで決める
- 距離は操縦者任せ
という設計です。
SkyEdgeは、
- 欠陥サイズから逆算して
- CMOS・レンズ・距離を同時に固定
します。
たまたま写った良い画像ではなく、
毎回測れる画像を量産する設計
これが差別化です。
🧩 11. まとめ
CMOS・レンズ・撮影距離は、
どれか一つを最適化しても意味がありません。
送電線・鉄塔点検では、
- 欠陥サイズ
- 安全距離
- 再現性
から逆算して、
3要素を同時に固定する必要があります。
SkyEdgeではそれを
数値仕様として設計に織り込みました。
※ 本記事は空想設計を含みますが、
実際の光学設計・点検要件を前提に構成しています。