37.【フィジカルAI設計】🏗️ 壊れない作り方|PID×FSM×LLMの三層構造
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🏗️ 壊れないフィジカルAIの作り方
PID × FSM × LLM の三層構造
前回の記事では、
LLMを制御ループに直結すると必ず壊れる理由を説明しました。
では次に出てくる疑問は、これです。
「LLMはどこに置けば“使える”のか?」
「どう配置すれば壊れないのか?」
答えはシンプルですが、
設計として明示されていないと必ず破られます。
それが
PID × FSM × LLM の三層構造です。
🧠 最初に結論
フィジカルAIで壊れないためには、
- 実時間制御
- 状態管理・安全
- 判断・再設計
を、明確に分離しなければなりません。
1つの要素に全部やらせた瞬間、壊れます。
🧱 三層構造の全体像
[ LLM ] ← 判断・再設計(非リアルタイム)
↑
[ FSM ] ← モード管理・安全遷移
↑
[ PID ] ← 実時間制御・安定性
重要なのは、
上の層ほど遅くてよいが、下の層ほど厳しい
ということです。
🟢 内側:PID(実時間と安定性を担う)
PIDの役割
- 実時間制御
- 安定性保証
- 即応性
PID制御は地味ですが、
現実世界と直接つながる唯一の層です。
- 応答はmsオーダー
- 振動・発散は即破壊につながる
- 理論的に解析できる
ここに求められるのは
賢さではなく、確実さです。
👉 この層にAIを入れてはいけません。
🟡 中間:FSM(状態と安全を担う)
FSMの役割
- モード管理
- 状態遷移の明示
- 例外・エラー処理
- 安全保証
多くのフィジカルAIは、
暗黙的にFSMを持っています。
- 起動中
- 待機
- 動作中
- エラー
- 安全停止
これをコードとして明示しないと、
LLMや人間の判断が状態を踏み抜きます。
FSMは、
- 「今やっていいか」を決め
- 「ダメなことは絶対にやらせない」
最後の防波堤です。
🔵 外側:LLM(判断・再設計だけを担う)
LLMの正しい役割
- 状況判断
- 方針決定
- パラメータ再設計
- ログ・履歴の解釈
ここで重要なのは、
LLMは「考える」ために使う
という割り切りです。
- 実時間性は不要
- 非決定性は許される
- 応答が遅れても問題ない
だからこそ、外側に置けるのです。
🚫 やってはいけない配置
❌ LLMをPIDループに入れる
- 遅延で即不安定化
- 再現性ゼロ
❌ LLMに安全判断を任せる
- 文脈次第で判断が揺れる
- 「今回は大丈夫」が事故になる
❌ FSMを省略する
- 状態管理が崩壊
- すべてが場当たり的になる
✅ 設計原則(覚えるのはこれだけ)
LLMは考えろ。動くな。
この一文で、
フィジカルAIの9割の事故は防げます。
🧭 この構造の意味
この三層構造が示しているのは、
- フィジカルAIは
AIアルゴリズムの問題ではない - システム設計の問題である
という事実です。
LLMは強力ですが、
万能ではありません。
正しい場所に置いたときだけ、
初めて「使える知性」になります。
🔜 次回予告
次の記事では、
この三層構造が 本当に効いているのか を、
- PIDのみ
- PID+FSM(AITL)
を並べた動くデモで確認します。
理論ではなく、
挙動の差をそのまま見せます。