23.【生成AI実験】日本語 vs 英語|画像生成プロンプトは同じ意味でも同じ結果にならない
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🎯 はじめに
画像生成AIでは、
「意味は同じ指示なのに、結果が違う」
という現象が頻繁に起こる。
特に
日本語プロンプトと英語プロンプトの差は顕著であり、
単なる翻訳問題では片付けられない。
本記事では、
同一テーマ・同一条件のもとで、
- 日本語プロンプト
- 英語プロンプト
を比較し、
なぜ差が出るのか、どこに差が現れるのかを整理する。
🎯 本記事の主眼は、「言語そのものが設計変数である」ことを明確にする点にある。
🧭 本記事の立ち位置
本記事は、以下の実験シリーズの続編である。
- 第1回:京都の風景(指示語10パターン)
- 第2回:寺院建築(指示語10パターン)
前2回では、
- 何を指定すると
- どのレイヤ(雰囲気/構造)に
- どう効くのか
を観測してきた。
今回はテーマを変えず、
「言語そのもの」を変数として扱う実験を行う。
🧭 指示内容ではなく、「指示を書く言語」が結果に与える影響を切り出す。
🔬 実験条件(固定ルール)
以下をすべて固定する。
- テーマ:Japanese temple architecture(寺院建築)
- モデル:DALL·E / Stable Diffusion / Midjourney 等(特定しない)
- 変更点:プロンプト言語のみ
- 比較対象:
- 構図の安定性
- 建築構造の保持
- 様式の一貫性
- 演出(色・光・雰囲気)
🔬 言語以外の変数をすべて排除し、差分を明確化する。
⚙️ ベースプロンプト(日英)
🇯🇵 日本語ベース
日本の寺院建築,
木造構造,
落ち着いた雰囲気,
自然な光,
文字なし, ロゴなし
🇺🇸 英語ベース
Japanese temple architecture,
wooden structure,
calm atmosphere,
natural lighting,
no text, no logo
※ 意味内容は意図的に揃えている。
⚙️ 「翻訳精度」ではなく、「解釈のされ方」を比較する。
🔬 生成結果の比較(日本語 vs 英語)

図1:同一テーマ・同一条件において、
日本語プロンプトと英語プロンプトで生成結果がどのように変化するかを比較した図
🧠 観測された主な違い
① 構造の安定性
- 日本語
- 屋根や柱の形が揺らぎやすい
- 建築様式が混ざる傾向
- 英語
- 建築構造が安定
- 屋根・軸線・柱配置が一貫
👉 構造を制御したい場合、英語が圧倒的に有利。
② 雰囲気の出方
- 日本語
- 情緒的
- 霧・夕景・日本画的表現が出やすい
- 英語
- 雰囲気は抑制的
- 光源・彩度が制御可能
🧠 日本語は
情緒・演出レイヤに強く作用する。
③ 抽象語の効き方
同じ「抽象的」という意味でも、
- 日本語
→ 絵画的・印象派寄り - 英語(abstract)
→ 形状簡略化・構造保持
👉 英語の方が「技術的抽象化」に近い。
⚠️ ④ 時代指定の差
日本語
江戸時代の寺院建築
- 日本画調
- 雰囲気優先
- 写実度が下がる
英語
Edo period Japanese temple architecture
- 建築様式が固定
- 屋根形状・装飾が安定
- 写実性が高い
⚠️ 時代指定は、英語で書いた方が再現性が高い。
🧠 なぜこの差が生まれるのか
① 学習データ量の差
- 英語:圧倒的に多い
- 日本語:量・粒度ともに限定的
👉 英語は 直接解釈、
👉 日本語は 翻訳+再解釈 になりやすい。
② 用語の意味密度
英語では、
- architecture
- structure
- lighting
が専門用語として固定されている。
日本語では、
- 文脈依存
- 情緒的解釈
が混ざりやすい。
⚙️ 使い分け指針(重要)
| 目的 | 推奨言語 |
|---|---|
| 構造制御 | 英語 |
| 再現性 | 英語 |
| 比較実験 | 英語 |
| 雰囲気・情緒 | 日本語 |
| 日本的表現 | 日本語 |
👉 どちらが正しいかではなく、役割が違う。
⚙️ 実運用への示唆
- 🔬 分析・検証用途
→ 英語プロンプトを基準にする - 🎨 表現・世界観重視
→ 日本語プロンプトを併用 - 🧱 本格的な制御
→ 英語+日本語補助が最適
✅ まとめ
- 同じ意味でも、言語が違えば結果は変わる
- 日本語は 「情緒制御」
- 英語は 「構造制御」
- プロンプト言語は 設計変数の一つ
言語を意識することで、
画像生成は 偶然から制御へ 移行する。
おわりに
本記事では、同一テーマ・同一条件のもとで
日本語プロンププトと英語プロンプトの違いを比較した。
結果として分かったのは、
言語の違いは単なる表記差ではなく、
画像生成における独立した設計変数として作用するという点である。
- 日本語は情緒や演出に強く作用し
- 英語は構造や再現性を安定して制御する
どちらが優れているかではなく、
目的に応じて使い分けるべき性質の違いが存在する。
プロンプトを「呪文」として扱うのではなく、
制御入力として分解・理解することで、
画像生成は偶然任せの試行から、意図を持った設計へと近づいていく。
以上。