2.5 設計上の課題:熱、テスト、タイミング
🔥 熱設計の課題と対策
✦ チップレット特有の発熱課題
- 小型チップが局所的に発熱
- 下層チップ(3D構造)では放熱経路が制限
- HBMスタックとの組み合わせで熱密度が増大
✦ 熱対策のアプローチ
対策手法 |
内容 |
サーマルビア |
TSVを熱拡散目的で配置 |
放熱板 |
パッケージ上部に金属ヒートスプレッダ追加 |
ワークロード分散 |
高負荷演算を温度管理により制御 |
シミュレーション |
初期設計段階での3D熱解析が必須 |
🧪 テストと歩留まりの課題
✦ テストの困難性
- 3D積層では中間層チップへのアクセス困難
- μ-bump / hybrid bonding 接続の欠陥検出が困難
- 再利用チップの組み合わせによりテストパターン最適化が複雑
✦ 対策例
項目 |
内容 |
BIST導入 |
各チップ内にセルフテスト機能を持たせる |
Known-Good-Die |
事前に単体で良品確認したチップのみ使用 |
TSVモニタリング |
TSV貫通抵抗・断線確認用テストパッドの活用 |
デバッグピン |
パッケージ外部へ一部信号を出力(開発専用) |
⏱️ タイミングと配線遅延の課題
✦ 配線レベルのバリエーション
- チップ間接続におけるレイテンシのばらつき
- 複数ダイで構成されるためリファレンスクロックの同期が難化
- チップ間伝送によるスキュー・ジッタの管理が重要
✦ 解決アプローチ
対策 |
内容 |
クロックドメイン分離 |
各チップごとに独立したクロック管理 |
高速I/F設計 |
PLL補正やSERDESを含めたチューニング設計 |
タイミングクロージャ |
パッケージレベルでのSTA(静的タイミング解析)対応 |
UCIeなどの標準I/F活用 |
Timing/Protocol一体型のインターフェース設計が加速 |
📌 まとめ
チップレット・2.5D・3Dの実装はパフォーマンスやスケーラビリティの面で大きな利点を持つ一方で、設計上の課題も多く存在します。これらの課題に対応するには、物理設計とパッケージ設計の統合的アプローチが不可欠です。
🏁 特別編 第2章 まとめへ
以上で特別編 第2章「チップレットと先端パッケージ技術」は完了です。
今後は、応用事例を活かした演習や教材への展開が期待されます。