ESD設計の妥当性は、製品評価段階や市場後の不良解析(FA)によって検証されることが多くあります。
ここでは、ESDによる代表的な破壊モードと、その物理的解析手法、設計改善へのフィードバック事例を紹介します。
破壊モード | 発生メカニズム | 物理観察例 |
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ゲート酸化膜破壊 | 高電界で絶縁破壊 | TEM断面にて酸化膜破れ確認 |
ソース・ドレインのメルト | 高電流で局所加熱・融解 | OBIRCHで加熱箇所特定、SEMで溶融痕 |
メタル配線断線 | 瞬間的過電流 | FIB切断後、空洞や焦げ跡 |
パッド下層の短絡 | ESD素子未導通による直撃 | EMMIでショート点、FIB解析にて貫通 |
手法 | 概要 | 適用例 |
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OBIRCH | 電流経路の加熱点を可視化 | ESDショート箇所の特定 |
FIB | 集束イオンビームによる断面加工 | 層間短絡や膜破壊の観察 |
SEM | 表面・断面の形状確認 | 溶断・溶融箇所の可視化 |
EDX | 元素分析 | 異物混入や腐食の確認 |
EMMI | 微弱発光観察 | 放電・リーク位置の探索 |
ESD対策は「設計・配置・評価・解析」が一体化した防御的設計であり、電気・物理・組織をつなぐ教育テーマです。
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