7.1 DRの基本思想と構造
🎯 本節のねらい
本節では、半導体製品開発における技術レビュー(Design Review: DR)の基本思想と、
その構造的役割について解説する。
DRは単なる会議体ではなく、各フェーズでの技術的妥当性の合意形成を担う重要なプロセスである。
🧱 DRの目的と意義
目的 |
内容 |
技術妥当性の検証 |
設計やプロセスが仕様・信頼性・量産性に適合しているかを確認 |
合意形成と責任共有 |
関係部門との合意を通じて、リスクを事前に共有・対応 |
開発プロジェクトの節目 |
各フェーズの技術的進捗と問題点を整理し、次工程への判断材料とする |
🔁 DRの3段階構造(代表例)
① 企画DR(Concept / Planning Review)
- 顧客要求、製品仕様、使用環境などの明確化
- 設計者だけでなく、営業/マーケティング/品質保証部門も参加
- 課題:機能仕様・コスト・スケジュールの整合性
② 開発DR(Design / Development Review)
- 設計構造、試作結果、信頼性予測の妥当性確認
- 設計/テスト/プロセス技術部門が主導
- 課題:試作データ、ばらつき評価、回路成立性、レイアウト妥当性
③ 量産DR(Production / Manufacturing Review)
- 歩留まり・検査性・工程安定性・トレーサビリティの最終確認
- 製造/検査/品質保証部門が中心
- 課題:不良率、工程変動、出荷判定基準、後工程実装条件
📚 教材としてのポイント
- DRは「責任の所在を明らかにするため」ではなく、問題を未然に防ぐための協働の場
- 教育的には、DRごとの判断軸・視点の違いを理解させることが重要
- 製品開発は単独部門では成立しない。DRはその前提となる構造である
📝 備考
- 実務ではさらに細分化(TEG開発DR、レイアウトDR、信頼性DRなど)されることもある
- 企業文化によってDRの形式や回数は異なるが、目的は技術合意と品質確保にある