SoCなどの大規模ICでは、製造後の機能検証・不良検出のために、
テスト容易化設計(DFT: Design for Testability) が不可欠です。
本節では、スキャン構造・JTAG・BISTなどの基本概念と、実設計における導入方法を学びます。
手法 | 概要 |
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スキャン(Scan) | 内部FFを直列につないで状態観測を可能にする |
JTAG | デバッグ/製造/制御向けの標準的テストアクセスポート |
BIST | 回路内に自己検査機構を組み込む(Built-In Self Test) |
DFF DFF DFF
+-------+ +-------+ +-------+
-->| SI |-->| SI |-->| SI |--> 観測
| Q | | Q | | Q |
+-------+ +-------+ +-------+
scan_enable
信号により、通常動作モード/スキャンモードを切り替える用途 | 説明 |
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製造テスト | 接続不良やショートの確認 |
デバッグ | チップ内の信号制御・観測 |
書き込み | FPGAやCPUのプログラム書き込み(例:SWD) |
演習テーマ | 内容 |
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スキャン挿入の可視化 | scan_enable の動作を含む回路をシミュレーション |
JTAGインターフェース観察 | TDI/TDOの波形解析、簡易JTAGモジュール構築 |
MBISTシナリオ設計 | メモリへのパターン書き込み/応答確認を模擬実装 |
テスト構造は、製造後の品質保証・量産対応に不可欠な設計要素です。
次章では、SoC完成後のウエハテスト、パッケージング、最終検査工程を学び、製品化への流れを締めくくります。