現代のSoC設計では、「標準セル(Standard Cell)」と呼ばれる小さな論理ブロックを
積み木のように組み合わせて大規模な回路を構築します。
本節では、標準セル設計の基本と、セルベース設計の利点・制約・演習への展開方法を解説します。
要素 | 内容 | フォーマット例 |
---|---|---|
回路図 | トランジスタレベルの論理回路 | .lib , .v |
レイアウト | 配置配線された物理構造 | .gds , .lef |
タイミング情報 | セル遅延、セットアップ/ホールド時間など | .lib , .db |
ピン定義 | 入出力位置・方向・金属層 | .lef , .mag |
+--------+ +--------+ +--------+
| AND2 |→| DFF |→| XOR2 |
+--------+ +--------+ +--------+
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Standard Cell Library にあるセルを
組み合わせて回路全体を構築
このとき、セルのタイミング特性や面積情報を参照して最適なセルを選択する
演習テーマ | 内容 |
---|---|
セルの構造をGDSで観察 | AND2, INV, DFFなどをレイアウトで確認 |
セル置換による遅延比較 | INV vs NAND構成での経路遅延評価 |
論理合成→配置のフロー体験 | Verilog → Synthesis → DEF生成まで体験 |
注意点 | 解説 |
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柔軟性の制限 | セル内部は再設計できない(再設計にはフルカスタムが必要) |
遷移時間と負荷容量の制御 | セル遅延が負荷とトランジスタ特性に依存する |
標準セル間の配線制約 | 配線ピッチ・ピン位置に制限がある |
標準セル設計は、SoC設計における効率性と再利用性を実現する基盤です。
次節では、このセルベース回路にクロックを分配し、タイミング整合性を確保するためのSTA(静的タイミング解析)の基本を学びます。