🌐 第4章｜主要プレイヤーと国家戦略の動向
Chapter 4｜Key Players & National Strategies
4.1 なぜ国家戦略に量子が重要視されるのか / Why Quantum Is a National Priority
量子技術は計算・通信・暗号・センシングなど多分野に直結し、
安全保障・産業競争力・技術覇権の鍵となる「次世代基幹技術」です。
Quantum technology underpins security, industrial competitiveness, and technological leadership.
各国は量子半導体を単なる研究対象ではなく、
国家戦略的資産として明確に位置づけています。
4.2 世界主要国の戦略動向 / Global Strategic Trends
🇺🇸 アメリカ｜National Quantum Initiative Act (NQI)
- 2018年制定、量子技術開発を国家規模で支援・統合
- 主要機関：DOE, NIST, NSF, DARPA
- Intel, IBM, Google, Rigetti など民間も積極参画
- 国家ファウンドリ構想 Q-NEXT が進行中
🇨🇳 中国｜量子優位性と国家主導投資
- 2016年から10年計画で量子情報国家実験室設立
- 世界初の量子通信衛星「墨子号」→ 量子暗号・通信で先行
- 投入予算・研究者数は世界最大級
- 知財囲い込みと閉鎖性が特徴
🇪🇺 EU｜Quantum Flagship
- 2018年より10年・10億ユーロ規模のプロジェクト開始
- 研究対象：量子通信、量子センサ、量子コンピューティング
- ドイツ・フランス中心に企業・大学・国が連携
（Airbus, Bosch, Infineon など）
🇯🇵 日本｜研究強化中だが産業化は課題
- JSTムーンショット目標6：量子研究を国家戦略に組み込み
- 理研・産総研・東大などが中心、NTT・日立・NECも活動
- 課題：製造インフラ・量産対応・事業化支援の遅れ
- ファウンドリ整備と標準化支援が必要
4.3 民間プレイヤーの戦略 / Corporate Strategies
| 企業 / Company | 方式 / Type | 特徴 / Key Points |
|---|---|---|
| 超伝導 / Superconducting | Sycamoreで量子優位性実証 | |
| IBM | 超伝導 / Superconducting | IBM Quantum、クラウド提供 |
| Intel | 量子ドット / Quantum Dots | CMOS互換アプローチ |
| Microsoft | トポロジカル / Topological | 長期視点での実装を目指す |
| D-Wave | アニーリング / Annealing | 特化型商用化で先行 |
| IonQ | イオントラップ / Ion Trap | 上場企業、クラウド連携推進 |
| Rigetti | 超伝導 / Superconducting | 小型量子チップ開発 |
| NTT | 光量子 / Photonics | 長距離量子暗号通信に強み |
4.4 ファウンドリ構想と産業基盤 / Foundry Concepts & Industrial Infrastructure
- 米国：「量子ファブ」構想、国費＋民間連携で製造支援
- 日本・EU：共通インフラ型製造基盤の議論進行中
- 課題：半導体産業政策の中に量子領域をどう組み込むか
4.5 本章まとめ / Chapter Summary
- 各国は量子を戦略資産として長期投資中
- 民間企業もCMOS融合型アプローチを加速
- ファウンドリ構想・量子OS・国際連携が競争の焦点に