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1. Si・SiC・GaN・ダイヤモンド|なぜ材料を変える必要があるのか?

MOSトランジスタの基本はシリコン(Si)を基板にした構造ですが、電力・高周波・高温環境など、
用途が広がるにつれて、シリコンでは性能的に限界が生じます。
この節では、「なぜSi以外の材料が必要とされるのか」という出発点から解説を行います。


🔍 出発点:シリコンの優位性と限界

特性 シリコン(Si)の利点 限界(用途による)
製造性 結晶性が高く、加工容易 300mmウェハが主流
コスト 安価・既存インフラ多数 高耐圧領域では劣化
電子特性 MOS動作に適した移動度 熱伝導性がやや低い
応用範囲 CMOSロジックに最適 高電圧・高周波には非効率

→ これらの用途には「ワイドバンドギャップ材料(WBG)」が必要になる。


⚡ WBG材料とは?

材料 バンドギャップ(eV) 特徴 主な用途
Si 1.1 CMOSの基本材料 LSI、MEMSなど
SiC 3.3 高耐圧・高温に強い EV、パワーIC、鉄道
GaN 3.4 高周波に優れ、スイッチング高速 5G、電源、衛星通信
ダイヤモンド 5.5 圧倒的な熱伝導・絶縁耐圧 宇宙、核融合、高耐放射線用途

※ バンドギャップが広いほど「高電圧・高温」に強く、オン抵抗を下げられるポテンシャルがあります。


🧩 Siでは到達できない応用例

応用例 材料の選定理由
EVインバータ 高耐圧&低損失が不可欠 → SiC採用
5G通信 高速スイッチング&小型化 → GaN HEMT
宇宙用途 放射線耐性&熱放出性 → ダイヤモンドFET

🔁 CMOSとの違いと接続


📝 本節のまとめ


📎 次節:2_material_properties.md では、
各材料の 移動度・バンドギャップ・耐圧・オン抵抗を定量的に比較します。