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⚡️ 02. 過渡応答と定常偏差の基礎

制御系の性能を評価する上で、「どれだけ速く」「どれだけ正確に」目標値に到達するかは重要な指標です。本節では、時間領域での応答特性を中心に、過渡応答と定常誤差について学びます。

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🎯 本節の学習目標

• 過渡応答の各評価指標（立ち上がり時間・オーバーシュートなど）を理解する
• 1次・2次系のステップ応答の典型的な振る舞いを把握する
• 定常偏差とその計算方法を習得する
• 応答の速さと精度のトレードオフを理解する

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⏱️ 過渡応答とは？

過渡応答（transient response） とは、ステップ入力などに対して、出力が定常状態に到達するまでの一時的な振る舞いを指します。

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✅ 代表的な評価指標

指標	記号	説明
立ち上がり時間	$t_r$	応答が10%〜90%に達するまでの時間
オーバーシュート	$M_p$	最大値が目標値を何％超えるか
セトリング時間	$t_s$	応答が一定誤差範囲（±2%など）に収束するまでの時間
定常偏差	$e_{ss}$	十分な時間経過後に残る誤差

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📉 1次遅れ系の応答

システム：

\[G(s) = \frac{1}{\tau s + 1}\]

ステップ入力に対する応答：

\[y(t) = 1 - e^{-t/\tau}\]

• $\tau$ は時定数
• 過渡応答は単調増加、振動なし
• $t = \tau$ で出力は約63.2%に到達

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🎯 2次系の応答（減衰あり）

システム：

\[G(s) = \frac{\omega_n^2}{s^2 + 2\zeta\omega_n s + \omega_n^2}\]

応答特性は減衰比 $\zeta$ に依存：

• $0 < \zeta < 1$：振動を伴う減衰応答（アンダーダンプ）
• $\zeta = 1$：臨界減衰（最速でオーバーシュートなし）
• $\zeta > 1$：オーバーダンプ（遅いが振動なし）

オーバーシュートと減衰比の関係

\[M_p = e^{\left( -\frac{\pi \zeta}{\sqrt{1 - \zeta^2}} \right)} \times 100[\%]\]

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🎯 定常偏差 $e_{ss}$ の計算

閉ループシステム $T(s) = \frac{G(s)C(s)}{1 + G(s)C(s)}$ において、入力が単位ステップ $R(s) = 1/s$ のとき：

\[e_{ss} = \lim_{s \to 0} \left[ \frac{1}{1 + G(s)C(s)} \right]\]

代表例：

系の型（Type）	定常偏差（ステップ）
Type 0	非ゼロ（比例）
Type 1	ゼロ（積分あり）
Type 2	ゼロ（高次積分）

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🧪 Pythonによる可視化例

例：1次・2次遅れ系のステップ応答比較
→ /simulation/transient_response.py を参照

• scipy.signal.step or control.step_response
• 2次系：$\zeta$ と $\omega_n$ のパラメータ変更による応答変化

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💬 まとめと実務的視点

• 応答は「速いが振動しやすい」 vs 「遅いが滑らか」のトレードオフ
• PID設計では、$M_p$・$t_s$ などの設計仕様を満たすようにゲインを調整する
• ハードウェア制御では、ノイズ・センサ遅れも考慮が必要

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📚 参考資料

• 森北出版「制御工学」
• Franklin et al., Feedback Control of Dynamic Systems
• Python: control, matplotlib

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