🤖 第08章:LLM統合と自己修復設計のPoC展開

本章では、AITL-Hにおける知性層(Intelligence Layer)としてのLLM(大規模言語モデル)の統合設計と、
PoCにおける命令伝達、構成補正、状態再構築といった展開について述べます。


1. 🧠 LLMの役割とPoC内での立ち位置

LLMは主に以下のような知的判断・命令生成に関与します:

  • ユーザ指令や外部状況を自然言語で解釈
  • UARTを通じてFSMにイベント(コマンド)を送信
  • 状態設計やPID設定の構成ファイルを再生成・修正

LLMは「抽象的知性を実行系に落とし込む橋渡し」として機能します。


2. 🔄 UART経由の命令送信構造

PoCでは、LLMからFSMに命令を送るためにUART(仮想通信)を使用:

[LLM命令]
   ↓(自然言語→FSMイベントへ変換)
UART送信(例:"start", "stop", "turn_left")
   ↓
FSMがイベントとして受信し、状態遷移を実行

FSM側の実装例:

command = uart.receive()
fsm.handle_event(command)

3. 🛠 自己修復と構成補正の展開例

LLMは、PoC中で次のような自己修復型制御に応用可能です:

機能 内容
FSM修復 fsm_config.yamlを再生成(壊れた状態遷移の修復)
PID調整 pid_controller.py内のゲイン再チューニング
対話命令 状況を自然言語で受け取り、イベントに変換
状態説明 現在状態・履歴をLLMが自然言語で解説する機能

4. ⚠️ 実験上の課題と留意点

課題 解説
応答遅延 LLMが外部にある場合、応答が数秒〜数十秒遅れる
同期保証 FSMループとLLM命令の同期が必要(タイミング問題)
曖昧命令 “ちょっと曲がって” 等の曖昧さはFSMに直接反映できない
安全性 誤命令による状態遷移ミスの制御が必要(フェイルセーフ)

🔚 まとめ

LLMはAITL-Hにおける「知性」を担い、FSMやPIDに対して構造的命令や自己修復補正を提供する役割を果たします。
PoC段階ではUART連携により段階的に実験し、構成ファイルの自動生成・再設計支援などを通じて、AIと制御の橋渡しを試みます。