🏗 第01章:AITL三層アーキテクチャ設計

本章では、AITL-H(All-in-Theory Logic for Humanoid)構想における三層制御アーキテクチャの役割と連携構造を解説します。
FSM・PID・LLMがそれぞれどのような機能・階層・責任分担を持つか、どのように相互接続されるかを明示します。


1. 🧠 AITL三層の再確認:本能・理性・知性

役割 実装例 制御対象 備考
知性(Intelligence) 状況判断、命令生成 LLM FSM構成/補正 高次抽象処理を担当
理性(Reason) フィードバック制御 PID 速度・角度など アナログ量の補正反応
本能(Instinct) 状態遷移と行動制御 FSM 行動選択 定義されたルールに基づく

2. 🧩 情報の流れと責任の明確化

         +---------+
         |   LLM   | ← 知性(命令の意味解釈・目的設定)
         +---------+
              ↓ UART
         +---------+
         |   FSM   | ← 本能(状態に応じた行動生成)
         +---------+
              ↓
     [ target_speed, target_angle ]
              ↓
         +---------+
         |   PID   | ← 理性(目標との差分を補正)
         +---------+
              ↓
         [ PWM信号 → モータ出力 ]

このように、抽象→具体へと情報が流れ、
LLMの曖昧な命令はFSMで確定され、PIDで連続制御に落とし込まれます。


3. 🧩 モジュールの独立性と再利用性

各層を独立に設計することで:

  • PIDゲインや応答特性は、FSMやLLMの変更と非依存
  • FSMの状態定義・遷移構造は、センサやPIDと分離設計可能
  • LLM側の命令生成モデルは、FSM構成に依存せず自由度を保つ

4. 🔁 応用拡張の方向性

  • FSMの状態・遷移定義をLLMが動的に構築・再構成(自己修復設計)
  • PID層の設計をLLMやFSMが学習ベースで補正
  • LLM側における記憶・文脈保持機構の導入による高度化

5. 🔚 まとめ

AITL三層モデルは、制御工学的には多階層制御構造(hierarchical control)の具現化であり、
AI時代に対応した柔軟な構成・制御分離を可能にするアーキテクチャです。
本章ではPoC構築のための「分離思想と接続構造」を設計の出発点として提示しました。